路線価を用いた地価査定

国税庁の『路線価図』から更地価格を概算する手順をご紹介します。

地価の変動状況や対象地の規模・形状によっては、十分な精度を保つことができません。「一つの目安」程度にお考えください。

1.標準価格の推定

国税庁HP 又は「財産評価基準書」で検索

国税庁『路線価図』は、当該路線沿いの標準画地に係る「時価(m²単価)×0.8」を表しています。

そこで、「路線価÷0.8」により、標準価格を推定することができます。

路線価図には、路線ごとに地価と借地権割合が記載されています。

例えば、「570C」なら、土地1m²単価570千円・借地権割合70%を意味します。

この場合、標準価格は
570千円÷0.8=約713千円/m²と推定されます。

2.時点修正率の査定

国税庁は毎年1月1日時点の路線価をその年の7月頃公表しますので、最大1年半程度のタイムラグが生じます。したがって、地価の変動が大きいときは、地価公示価格等の変動や、民間地価調査等を考慮して時点修正を行う必要があります。

○地価公示価格等の推移
『よこはまの地価』横浜市HP(全国の公示価格等が分かります)

○民間地価調査
『住宅地地価』野村不動産アーバンネットHP

3.個性率の査定

対象地の規模・形状等が標準的なものであれば、時点修正後の標準価格が対象地の推定単価となります。

しかし、例えば対象地に次の要因が認められる場合は、その個性率を考慮する必要があります。

なお、個性率の求め方は「財産評価基本通達」等に定められていますが、実勢値は通達等に従って算定したものと大きく異なる場合も多くあります。

詳細はお問い合わせください。

例:「北向き・規模150m²・整形地」を標準とする個別的要因

価格を引き上げる要因価格を引き下げる要因
角地、二方路、三方路、南向きなど間口狭小、不整形、地積過小、地積過大、軟弱地盤など

財産評価基本通達(国税庁HP)
国税庁HP→税について調べる→法令解釈通達→財産評価

4.路線価から概算した更地価格

上記1から3を次式に当てはめて、更地価格を概算することができます。

路線価÷0.8×時点修正率×個性率×地積

例:570千÷0.8×時点0.95×個性1.03×150m²=約105,000千円
(時点修正率-5%、角地の個性率+3%)

なお、更地の正式な鑑定評価では、取引事例等との比較を行い、必要に応じて他の手法を併用して市場価格を求めます。路線価から推定した価格は、「一つの目安」程度にお考えください。

また、土地の上に建物が存する場合、更地価格と建物価格(取得価格や簿価)との合計価格が、その不動産の市場価格となるわけではありません。収益性が優るため市場価格が合計価格を大きく上回る場合や、逆に、建物取壊し費用や立退き費用が生ずるため「土地+建物」の市場価格が更地価格を大きく下回る場合もあります。