賃料改定に関する評価
「市場賃料」とは、対象不動産を市場において新規に賃貸借した場合に成立し得る賃料を言います。
また、「継続賃料」とは、継続中の賃貸借契約に係る当事者間において成立し得る賃料を言い、賃料改定に関する評価では通常これを求めます。
市場賃料(正常賃料)
賃料改定交渉においては、「継続賃料」を求めることが一般的ですが、その計算過程で必ず「市場賃料」を求めます。また、交渉状況によっては「市場賃料」のみを求める方が効果的な場合もあります。
当事務所では、ご依頼者様が交渉方針を迅速に立案し、かつ、評価報酬負担を軽減できるよう、継続賃料の評価をお引き受けする際には、あらかじめ「市場賃料の概算額調査」をお請けすることとしております。
なお、不動産鑑定評価基準では、市場賃料の求め方として次の3手法を例示しています。
1.積算法 | 「現時点の元本価格」に、「市場から見出される利回り」を乗ずる等により、市場賃料を求める手法 |
2.賃貸事例比較法 | 新規に締結された賃貸事例と比較して市場賃料を求める手法 |
3.収益分析法 | 標準的な予想売上高から負担可能な賃料水準を求める手法(店舗賃料の評価等に適用) |
継続賃料(改定賃料)
現実の借家契約では、契約の範囲や現行賃料約定時点(最終合意時点)など評価額に大きな影響を与える要因が曖昧になっていることが多いものです。当事務所では、調査の過程で判明した曖昧要因等を速やかに整理して、ご依頼者様が自らの正当な権利を主張できるよう最大限のサポートを行います。
また、交渉に用いる評価書は、その内容について相手側から詳細に質問を受けることが通例です。当事務所では、賃料に影響を与える要因を十分に把握して結論に反映させることを通じて、説得力のあるレポートをご提供します。
なお、不動産鑑定評価基準では、継続賃料の求め方として次の4手法を例示しています。
1.差額配分法 | 現行賃料と市場賃料との間において改定賃料を求める手法 |
2.スライド法 | 最終合意時点の賃料を、物価指数・家賃指数・不動産価格指数、売上変動率(店舗賃料の場合)などによりスライドさせて改定賃料を求める手法 |
3.利回り法 | 「現時点の元本価格」に「最終合意時点における利回りを標準とする利回り」を乗ずる等により、改定賃料を求める手法 |
4.賃貸事例比較法 | 継続中の賃貸事例と比較して改定賃料を求める手法 |
店舗賃料の評価では、これらの手法のほか、過去の売上高から今後の売上高を推定して借家人の負担可能な賃料水準を求めることもあります。